以前、大学の後輩でライターの佐々木ののかちゃんがインプロワークショップの取材をしてくれました。
2015年12月にSAL-MANEの仲間の大川原脩平くんと一緒に行ったものです。
世田谷区の未就学のお子様向けに行いました。
その時の記事をこちらでご紹介したいと思います。
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こんにちは!好奇心まみれライターの佐々木ののかです。
インプロって、なに?
昨年12月、わたしは大学の先輩であります、しもりいさんにお呼ばれしてクリスマスパーティーに行くことになりました。子どものためのクリスマスパーティーと聞いたので、歌ったり踊ったり、プレゼント交換をしたりするのかな、なんて思っていたら、なんでも「インプロ」をやるということ。
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インプロって、なに?
わからないことはグーグル先生に聞いてみよう。そう思い、調べてみたわたし。すると、「即興劇」なる単語がたくさん出てきました。
(え! しかも、『嵐にしやがれ』でも、紹介されている……! けっこうメジャーなんじゃん……)
そして、Wikipediaには、こう書かれていました。
「台本を用意せずに、即興的な演技手法を用いて、俳優が自発的に演じる形式の演劇である」
(Wikidpediaより引用)
ののか:「無理だろ」
「台本もないのに、ストーリーが展開していくはずがない。うまくいっているとしたら、きっと裏で打ち合わせとかしてるんだ、絶対……絶対……」
インプロなるものを疑ってかかっているわたし。斜めなモノの見方に、性格の悪さが滲み出ています。
でも、あのしもりいさんが夢中になっているんだから、きっとすごく良いものに違いない。それに、そんな嘘みたいな話が実現するなら、ほんの少し見てみたい気もする……!
クリスマス(パーティー)で起きるかもしれない奇跡に期待を込めて、わたしはしもりいさんプレゼンツのクリスマスインプロパーティーに足を運んだのでした。
子どもたちは、自由だった
そして、やってきましたクリスマスパーティー!
子どもたちに楽しんでもらおうと、お母さん方がせっせと準備にいそしんでいます。
子を思う親心、素敵ですね。親御さんたちが一生懸命準備をしている頃、主役の子どもたちはと言うと……
って……
ちょっとちょっと……
何ていうか……
自由だ
何ていうかとっても自由だ。
そう言えば、確かしもりいさんが前に、
「インプロを通じて子どもたちに自由に表現しても良いんだよ、っていうことを伝えたい」
と、言っていたっけ……。でも、ここまで自由なら、インプロは必要ないのでは?と思うし、そもそもこの子たちこんなに元気なのに、おとなしくインプロショーを見てられるのかしら……。
何だかすっかりママの気分です。子どももいないのに。
……あ、インプロが始まったようです!
拍手~!
しかし、会場の盛り上がりはイマイチ。
「つまんな~い」「そんなのやめて、違う遊びしようよ~」と、口々に子どもたち。
ご覧の通り、だいぶリラックスモード。子どもは正直ですね。
しかし、この後から二人の快進撃が続きます。
インプロは、魔法だった
まず、行われたのは、インプロショー。
ルールは簡単。椅子に座っている人に、もう1人が「どうしたの?」と、話しかけます。そして、何度かのやりとりを重ね、最後に2人そろって舞台の左袖にはけることがゴールです。
それを聞いたわたしの頭の中では悪魔と天使の言い争いが起きます。
ののか悪魔:「いやいやそんなの無理でしょ」
ののか天使:「しもりいさんが言うんだから嘘じゃないよ!」
ののか悪魔:「そんなに言うなら、とりあえず見てみようか?」
あ、本番が始まりました。
修平君が何やら悲しそうな顔をしています。
しもりいさん:「どうしたの?」
修平「わたしゃねぇ、足が悪くて隣の部屋に行きたくてもいけないんだよ」
しもりい「じゃあ、わたしがおんぶして連れてってあげるよ」
修平「いいのかい? じゃあお願いしようかねぇ」
こうして舞台袖に去っていった2人。ここまでわずか1分程度。
……え、これ、ほんとに裏打ち合わせなし?
ののか悪魔:「こんなにスムーズにいくわけないじゃん、絶対裏で打ち合わせしてるよ」
ののか天使:「でも、よく見てよ。ちゃんとお互いの目を見て、しっかり相手の考えていることをくみ取ろうとしているよ」
ののか悪魔:「確かに」
わたしの中の悪魔も納得です。
さっきまで「つまらないよ~」と言っていた子どもたちは、というと、真剣に耳を傾けています。
ののか:「子どもって正直だなぁ……」
そして2人のインプロショーが終わった後は、修平チーム、しもりいチームに分かれての子どもたち参加型のインプロショー「そのあと、どうなるの?」が。
こちらもルールはシンプルで、一方は出演者、一方は観客になり、観客側が「そのつぎどうなるか?」のストーリーを考えていくというもの。手を挙げて、当たった人がその次のストーリーを決めていけます。
しもりいさん:「思いついた人~?」
子どもたち:「は~い!」
子どもたちはもうノリノリ。さっきは自由に遊んでいたけれど、面白いことにはしっかり耳を傾けているんですね。
子どもたちの表情が掲載できないのが残念ですが、まるっきり自由に遊ぶときとはまた別の真剣な、それでいてイキイキした顔つきが印象的でした。
終わる頃には、「もっとやりた~い!」、「なんで終わっちゃうの~?」という声が口々に聞かれたインプロ。
「これはしちゃダメ」と制約しなくても、興味のあることになら、子どもは全身全霊の力を注いで集中してくれるんですね。
台本がなく、相手の心を慮って行うインプロ。
その魔法のような即興劇に、新しい可能性を見た気がしました。